河原に流れ着いていた被災木のことを思い出す。
大きな道の歩道を歩いていると、黄色いとんぼが下にいた。平たくなっていた。拾い上げることができたので(平たくなっている虫は舗装面にへばりついて拾い上げることができないことも多い)、土のある所へ移した。道の対岸を、虫取り網を持ったこどもたちが私が来た方向へ走っていった。
とんぼを安置したのは道の脇の小さな草の茂みだった。そこから少し歩いたところの草地で、同じ種類に見えるとんぼがたくさん舞っていた。ここに運んだほうがよかったかもしれないと一瞬思ったけれど、そうでもないかもしれないと思い直した。たんぽぽが綿毛を高く差し上げていた。