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2020年4月30日

道の記


以前、ここの擁壁から何か出ていたのだったと思いながら差し掛かり、振り返ると、何かの幼木が大きく枝をこちらへ差し出していた。いちど折られたような様子だった。


川沿いを行くと小さな神社があった。その手前で1株、コスモスが咲いている。うれしくも不思議な気持ちになった。もう日がだいぶ傾いていた。コスモスも横から陽を受けていた。


その先では道の川の側にルピナスがぽつぽつ咲いていた。植えられたというより、以前植えられていたその子孫のように見えた。


モウコタンポポは1か所ではやはり今年も出ていなかった。もう1か所では綿毛をだいぶ放ったようだった。いまも作っている。


残された桜はあおあおと茂っていた。上のほうにちらほら花が残っている。よく見ると、歩道側に伸びた枝の下に、ちょうど頭の上になるあたりに、3輪、花が咲いていた。花が照らしてくれていると感じた。幹に触れた。きょうのあたたかさを蓄えていた。


その桜の下でお話しした方のお宅はもうない。空き地にいろいろな草がぱらぱらと茂っていた。手前で、ヒメジョオンが咲いていた。


ヒトツバタゴは花を咲かせていた。街灯に薄く花が照らされていた。白とは違う、少し紫を含んだ色合いで、暗い空に細かく咲いていた。ちょっとだけマスクを外した。香りはわからなかった。

2019年11月5日

道の記


大くすのきの林だった場所は、くすのきの切り株はなくなって、フェンスの向こうに鉄筋が並んでいた。


柿の木や樫の木の残っていた切り株が撤去された場所は、以前から出ていたヤブガラシが地表を覆っていた。ひこばえらしきものは見えなかった。敷地を越えて出ていた柿の木の芽もなかった。


田んぼだった場所の横の花壇は、ルピナスに似たあざやかな花が穂を立てて咲いていた。ポーチュラカがその下を彩っていた。


桃が1つ花を咲かせていた。その下ではホトケノザがいっぱい咲いていた。


大くすのきの林だった場所の横を帰りにも通った。鉄筋群はそこに新しく生えてきた植物のようにも見えた。彼らもあと50年くらい経ったら、くすのきたちと同じようにここを取り払われるのだろう。人の営みも人の力によって壊されていく。
鉄筋たちがめざす天は曇っていた。ただ土が積まれただけの、以前のものとは違う小高い丘の、その上ではなくはるか離れたところで、満ち始めた月が雲の向こうから照っていた。