道ゆく先々での、木々草々花々などさまざまの出会いとその後を、一筆箋に綴るつもりで。
From the Wayside: about my acquaintances of trees, flowers, weeds and others (written in Japanese)
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2018年7月19日
道の記
開発中の大くすのき林の場所は多くの重機が出て丘の掘削が進められていた。以前手前に見えていたくすのきの伐り株のあたりはすでに平らになっていた。丘の最上部だけが残っていてそこに伐り株や草がわずかに見えた。
歩道との境に、以前大きく茂っていたボタンクサギが小さくなって花を咲かせていた。離れたところにくすのきだと思う枝や根が少し集められていた。そこからなのかわからなかったがかすかに、くすのきの香りがした。呼ばれたのだと思った。
田んぼで稲が風にさやさや鳴っていた。それを聞いて先へ歩くと、隣のお家の前になぜか稲が1本、根から抜かれて横たわっていて、そのお家の車がその稲を踏んで出かけていった。抜かれた理由があったのかもしれないがと思いつつ、田んぼの畦に稲を安置した。
行きも帰りも行く手の信号が次々赤になるので、道のあちら側から何かが呼んでいるのか、と思い、道の反対側へ渡った。何か見られるのだろうかと思いながら歩道を歩き出してすぐ、路面にアゲハを見つけた。乾いて路面に張り付いていた。ていねいに剥がして植え込みの下へ移した。
(この日はほかにも歩道を横断中の芋虫や、乾いたミミズ、そして最後にはアブラゼミを場所移しした。アブラゼミは生きていて、近くの公園の桜に移した)
帰りにも大くすのき林の横を通った。ボタンクサギとアレチハナガサとヤナギハナガサの花々が同じ色合いの夕空に並んでいた。くすのきの香りはもうしなかった。