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現在、機器の問題でブログの更新がやや難しくなっています。最新の記事はツイッターのほうに投稿し、このブログには可能なときに後追いで掲載するようにします。1日の記事が多いときにはブログに一気に投稿する場合があります。2020年9月18日(2021年6月1日修正)

2018年2月26日

道の記


中心街の一角にぽつんと都市化から取り残されたように草だけが生えている小さな植え込みがある。そこを通るたびにちょっとのぞき込んで行く。きょうは、オランダミミナグサの葉がたくさん生えていた。ねこじゃらしの枯れた茎が1本、穂を立てていた。街はまだ雨に濡れていた。


セイヨウタンポポから現在スズメノカタビラへと場所の主が替わっている電柱下では、スズメノカタビラが穂をつけていた。


ああ、冬を越したんだ、と思った。

2018年2月22日

道の記


もう何年も歩いている大通りの歩道の脇に、気付かなかった伐り株があった。はこべの花に囲まれていた。


やはりよく通る道から見える公共施設の小さな倉庫の裏側から、いぬびわの木が大きく伸び出しているのに初めて気付いた。枝先にぱらぱらと実が見えた。


駐輪場の柵に赤いマフラーが結んであった。けやきの木がぜんぶ見ていたみたいにそびえていた。


交差点のこぶしの木にはたくさんの花芽がついていた。風が冷たくなっていて、ふかふかの花芽が少し暖かそうにも見えた。満ち始めたばかりの月が梢の向こうに見えた。

2018年2月20日

道の記



治療を受けている古木いちょうがいる屋敷跡は、いまマンションの建設工事をしている。対岸から見たらすでに高い建物ができていて、正面横のいちょうが建物の下で小さく見えた。絵本『ちいさいおうち』の絵のようだった。


中心街の大通りに面していた桜がなくなっていた。いま一帯が造り替えられようとしているところで、隣の建物も解体されて広々としていた。春、花の散る頃に通ると、人通りの多い歩道の上を花が舞っていた。その景色が、いま目の前にあるがらんとした広がりよりも自分の手前にあるように思えた。


咲きかけのさざんかの木が置かれていた更地は駐車場になるようだった。工事が進められているその奥に、色の褪せたさざんかの木とほかの木々がまとめて横たえられていた。

2018年2月13日

道の記


10年ぐらい前にこの橋を歩いたときもやっぱり冬の最中で、手すりの下にすみれがいた。きょうもすみれはいた。たもとに雪を溜めていた。河原では鴨たちがじっとしていた。


夜の道で、雪があられになった。あられは路面に降りても留まるところがなく、荒波のように、いや荒波でさえこんなに荒れてはいないと思うほど荒々しく路面の上を吹き流れていた。


吹き荒れる夜の大くすのき林を横に歩き過ぎながら、自分は明るくにぎやかな場所にいるよりもここで吹雪を受けながらずっと伐り株の木々を見ていたいと思った。手前の伐り株から伸び出ている短いひこばえがほの暗い雲にそびえ立っていた。

2018年2月12日

道の記


高い建物の上の給水塔のようなところから、からすが飛び立った。あとに何か鳥のようにも見える黒いものが残っている。からすだろうかと思ってしばらく見ていたが、遠くて、動いているのかどうかもよくわからなかった。幼木かもしれない。さっきのからすはそこで何をしていたのだろう。気が付くと、給水塔の真下に別のからすが1羽、ずっと留まっていた。


震える寒さになった。自動販売機でココアを買って飲んでいて、そこの庇の上からスズメノカタビラが出ているのが見えた。穂も出ていた。


公園で草探しをしていてこどもたちから声を掛けられた。近くの草を差して、こっちはアメリカフウロ、そっちはオランダミミナグサ…と話したら、すかさず、こんなにいろいろ名前を知っているなんてすごい、と言われた。ひさしぶりにこどもさんから誉められてうれしかった。


この前ここを訪ねたのは何年前だったか、そのときには伐られてまもなかったように覚えている大きな伐り株。時が経って、すっかりしずかになっていた。あちらの伐り株には小さな荷物が置かれて、おとうさんと女の子がゆっくりとおにごっこをしていた。


小学校は広々とした空き地になっていた。真ん中あたりに地面をそのまま活かした花壇が造られているほかは、あまり手を入れられていないように見えた。菜の花のように見える小さな葉が1列2列並んでいた。いろいろないろいろな春の草がところどころで同じく小さな葉を広げていた。さっきまでちらついていた小雪は、日差しにかわっていた。

2018年2月7日

道の記


広い敷地がコンビニエンスストアと大きな駐車場に変わってからだいぶ経つ。その駐車場が広がっている向こうで、灰色の低い雲が、上辺を吹き上げられたように細かく立ちのぼらせて空へ消えていた。


蝋梅は少し花を減らしたように見えたけれどもよく香っていた。近くで、似た色合いのガザニアが花を半開きにしていた。

2018年2月5日

道の記


雪ひらが次々と道路に当たってひとつひとつ砕けた。


車のいない大通りに横殴りに吹き荒れながら降りてくる雪ひらの中をなにか小さなビニール袋のようなものが翔け上がっていった。吹き荒れていても上がってゆくのはそのビニール袋だけのようだった。


耕作地が広がるその彼方の山を見ていたら、西の谷から吹雪がやってくるのが見えた。とんでもなく大きなものが襲ってきたように見えた。みるみるうちに山の景色は吹雪の煙に埋められた。それからほどなくここも吹雪になった。


道端でオニノゲシが花を開こうとしていた。春はここからはずいぶん遠くに思えた。

道の記


いまが寒さの底だろうと思う。あるところではイノコヅチが枯れて穂を高く差し上げているのを見た。あるところではイノコヅチはしおれながらもなお緑を残していた。となりの皇帝ダリアもそうしていた。


切り開かれた竹林の向かい側の同じく重機が入っていた小さな雑木林も造成が終わっていた。その区画の端に木々が並んでいた。手前の木は工事中のときに根元が掘削されていた木のように見えた。敷地内移植されたのだろう。木々の向こうから吹き上げてくる風はまだ冷たかった。


大くすのき林にはさらにいくらか工事の手が入ったように見えた。丘の奥のほうで、芽のない伐り株がなにかの建造物のように厳かに空に立っていた。