いまが寒さの底だろうと思う。あるところではイノコヅチが枯れて穂を高く差し上げているのを見た。あるところではイノコヅチはしおれながらもなお緑を残していた。となりの皇帝ダリアもそうしていた。
切り開かれた竹林の向かい側の同じく重機が入っていた小さな雑木林も造成が終わっていた。その区画の端に木々が並んでいた。手前の木は工事中のときに根元が掘削されていた木のように見えた。敷地内移植されたのだろう。木々の向こうから吹き上げてくる風はまだ冷たかった。
大くすのき林にはさらにいくらか工事の手が入ったように見えた。丘の奥のほうで、芽のない伐り株がなにかの建造物のように厳かに空に立っていた。