雪ひらが次々と道路に当たってひとつひとつ砕けた。
車のいない大通りに横殴りに吹き荒れながら降りてくる雪ひらの中をなにか小さなビニール袋のようなものが翔け上がっていった。吹き荒れていても上がってゆくのはそのビニール袋だけのようだった。
耕作地が広がるその彼方の山を見ていたら、西の谷から吹雪がやってくるのが見えた。とんでもなく大きなものが襲ってきたように見えた。みるみるうちに山の景色は吹雪の煙に埋められた。それからほどなくここも吹雪になった。
道端でオニノゲシが花を開こうとしていた。春はここからはずいぶん遠くに思えた。