柳絮(柳の綿毛)が舞っているところに行き合わせた。あたり一面というか四方八方というか白い綿毛がふわふわと漂っていて、道行く人も気付いて綿毛を目で追ったり柳を見上げたり虫を払うように手を振ったりしていた。
柳絮が舞っているのは以前別の場所で見たことがあるが、そのときはこんなにたくさんではなかった。漂い流れるたくさんの綿は、ひとつひとつそれぞれに何か思うところあるかのように漂い、流れていた。そんなそれぞれのたくさんの綿々で、その場所の空気が埋め尽くされていた。
いや、的確に書けないけれど、あの景色は柳がものを思う物思いそのものだったようにも思う。