道ゆく先々での、木々草々花々などさまざまの出会いとその後を、一筆箋に綴るつもりで。
From the Wayside: about my acquaintances of trees, flowers, weeds and others (written in Japanese)
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2016年7月7日
道の記
撤去工事中の街路樹の根元にすみれの葉が出ているのを見つけた。土というより、植え枡いっぱいに広がっている木の根の隙間から生えている感じ。いくつか先の植え枡では、背丈ほどの高さで伐られた木が抜かれている途中だった。すみれも、たぶんきょうのうちに、木と同じところへ運ばれて行っただろう。
その同じ通りで、10年ほど前のある夜更け、街路樹の採掘工事に遭遇した。撤去のための工事のようではなく、少し手空きに見えた方にお尋ねすると、他の場所へ持って行くとのこと。いまは木も大切だから、と。これから旅をするその木は、大きな荷台の上で街灯に照らされてしずかにしていた。
教えていただいた移植先の場所は私もよく知っている町の大きな公園だった。しばらく経って、その公園を訪ねてみた。たぶんこの木じゃないかな、と思ったその木は、枝をずいぶん落とされていながら、あの通りにいたときのように、すっくと空に立っていた。