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2018年10月31日

道の記


山里へ向かうバスから見える山も空も美しかった。道沿いのポケットパークに桜が5本並んでいる。紅葉していた。その桜の上に、底が平らな雲が山のほうからこちらへと並んでいた。


きょうはいつもより切なくならないでいると思っていたが、遠くの山を見ていると切なくなってきた。自分は誰を探しているのだろう。


棚田が見える直売所はみなさん変わらずお元気だった。先週刈り取ったとおっしゃる稲が棚田の下のほうに干されていた。清掃の寄り合いから降りてこられた方々が新米の銘柄を尋ねておられた。


林に囲まれた広場の樺の木も元気だった。来たときには山のほうにだけ陽が当たっていた。降りる頃には空はうすむらさきになって、樺の木やそのまわりの木々やその奥の深い林といっしょになって、暮れ色を見せてくれていた。


帰り道には火星が見えていた。バスを待つ間、夏の大三角やそのあたりの星々を眺めた。イリジウム衛星だと思う明るい人工衛星が、ヴェガのそばをすっと通って消えていった。

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