道ゆく先々での、木々草々花々などさまざまの出会いとその後を、一筆箋に綴るつもりで。
From the Wayside: about my acquaintances of trees, flowers, weeds and others (written in Japanese)
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2016年7月14日
道の記
そのお家はみどりがお好きな方が住んでおられて、道からも植木のほかカンナの花などが見えていた。そこの敷地境界のブロック塀の隙間からタツナミソウが生えていた。たぶんお庭に植えておられたものが出てきたのだろう。まちなかでタツナミソウを見ることもほかになく、花の頃など気に掛けて見ていた。
その方がしばらく前に亡くなられ、お家にご親戚かどなたかが入っておられたようだったのだが、植木がばっさり伐られ、それからしばらく経って更地になった。ほどなくマンションの建設工事が始まった。ブロック塀は敷地境界の部分だけ残されていた。
タツナミソウもそのまま生えていたが、あるとき姿がなくなった。ブロック塀の内側に残っていた土が削られた様子で、タツナミソウはその土に根ざしていたのだろう。しばらくはブロック塀の下にドクダミも生えていたが、とうとう塀も撤去され、草もなくなり、新しい塀ができた。
すぐ近くに、やはり草花がお好きな方のお宅がある。そこにタツナミソウやドクダミやほかの草花たちが逃げ込んでいって、かくまってもらっているのではないだろうかと、少し思っている。道から見えなくても、草のこどもたちがまちなかのどこかで生き延びて、世代をつないでいってくれたらと思う。