道ゆく先々での、木々草々花々などさまざまの出会いとその後を、一筆箋に綴るつもりで。
From the Wayside: about my acquaintances of trees, flowers, weeds and others (written in Japanese)
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2019年11月6日
道の記
幹が枯れた桜はひこばえをいくつか出していた。まわりの桜はあざやかに色づいていたが、ひこばえはやっと伸び出した様子で、あおあおしていた。
道端で御高齢の方が立ち止まって、何か草を手に取っている。それを手折って去って行く。その場所に通りかかる。アレチハナガサの茎の上のほうが無くなっていた。その方の手にはきっと花があるのだろう。
畑だった場所が幼稚園のようなものになるようだ。重機が整地に入っていた。ここではトゲミノキツネノボタンがよく咲いていた。わずかに草が残っている敷地の端で、それらしき葉が地面を覆っていた。ホトケノザがぴょんと伸びて花を咲かせていた。
***
帰りに振り返ると、山はあざやかに陽を浴びていた。でも山の呼び声は聞こえなかった。景色をしばらく眺めて、行こうと山を背にしたとき、山の声が聞こえた気がした。いまは来なくていい、そこですべきことをしなさい、と言っているようだった。
1度だけ振り返って、山を見た。帰り道は行き道になった。
ジュズダマの空き地はジュズダマがだいぶ刈られていた。端のあたりに残っていた。ジュズダマの実が歩道の路面に落ちていた。七転び八起き、と思いながら、実を八つだけ拾って、手に握った。路面に残るジュズダマの実はまた誰かが拾うだろうか。
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