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2019年8月21日

道の記


大くすのきの林だった場所の、丘の上に置かれていたくすのきの切り株は、丘の脇に移されていた。丘の向こう側に、小さくこんもりした一点の緑があった。木なのか草なのかわからない。小さなくすのきの樹冠のようにも見える。その緑がいまこの場所でいちばんの高みにいた。


先日夜に通ったとき小さな緑の馬に見えた道の脇のヒメムカシヨモギは、きょうは馬の形をしていなかった。今年の茎はしおれかかっていて、去年の茎は今年の茎とは分かれて立っていた。今年の茎にもたれていた部分が枯れ落ちたのかもしれない。


歩く途中、蝉を拾っては土のある所に置いて行った。生きている蝉は木を探して幹に移した。しかし次第に私も歩き疲れて、人が踏まなさそうな位置に落ちている蝉はもうそのままにして先を歩いた。最後に見た蝉は、学校のグラウンドの網の下に逆さに挟まっていた。動いてはいなかった。


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