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2019年8月15日

道の記


低い山の裾野に広がる田んぼの中を行く県道。歩道はセイバンモロコシが立ち並んでいる。その中で1か所、キツネノマゴがかたまって生えていた。今年初めてキツネノマゴの花を見た。農家のお家の影が掛かる位置だった。その先はまたセイバンモロコシの続く道だった。


お店も自動販売機もない道だった。あらかじめ飲み物を調達しておくべきだった。ふらふらしてきた頃にようやく自動販売機があった。食堂だったようだが閉店してしばらく経つ感じだった。飲み物をありがたくいただいた。お店の入口の横にキンモクセイの木がいた。クモが巣を張っていた。木の葉に触れると、触れたところに私の汗が水滴になって付いた。


以前は畑だったのかもしれないいろいろな高い草が生えた土地の手前に人の後ろ姿が見えた。立ったままじっとしておられる。何をご覧になっているのだろうとこちらも少し立ち止まりかけたが、その立っておられる姿勢で私も気づいて、先へ歩くことにした。


この道を再び歩くことはないかもしれないと思いながら歩いた。いくらかの雲と、とんでもなく青い空。何かのつる植物が何か煙突のようなものを全面緑の柱に変えていた。農作物の無人販売スタンドが何も置かれず放置されていた。道向こうには小川が流れているようだった。この小径の景色がこの夏の思い出になる予感がした。


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