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2019年6月9日

道の記


宅地になるほうの大くすのきの林だった場所は工事が進められていた。きょうは道の対岸のほうを歩いた。対岸には濃い緑が残り、足元にはキカラスウリらしき花が咲いていた。以前はひとつにつながっていた林なのだろう。しかし向こう側にいたボタンクサギはこちらでは見つけられなかった。


事業所の前の植え込みの淵に、まだだいぶ小さな猫のこどもがいた。こちらをおびえて見ている。寄って見ることはせず、そのまま歩いた。頭だけを動かして私のほうをさいごまで見やっていた。道の行く手にはいつものホリホックが静かな花を咲かせていた。


夕日を真っ向から受けている山並みを背に、反対方向の山並みを見ながら帰り道を歩く。飛行機雲が何本も流れて、いくつかはもうただの雲になっていた。ヒメジョオンや、たぶんヒメムカシヨモギだと思う草や、ヘラオオバコの大きな株が、歩道の脇にめいめい暮らしていた。


疲れてこの景色のなかに座りたいと思い、疲れたけれどこの景色をどこまでも歩きたいと思った。山も空も遠いままここにあった。


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