道ゆく先々での、木々草々花々などさまざまの出会いとその後を、一筆箋に綴るつもりで。
From the Wayside: about my acquaintances of trees, flowers, weeds and others (written in Japanese)
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2019年4月20日
道の記
山はまだ景色のところどころで山桜が咲いていた。ダム湖の中の山桜も、この景色の中のどこかにこどもを残しているだろう。そう思いながら、ダムへ続く道を登った。
桜は完全に水没したわけではなく、これまでに最も水位が上がった時点でも梢のところが水面上に残っていた。その後水位が下げられ、この日は樹冠の全体が水面の上に出ていた。双眼鏡で見たけれど花や葉は見当たらなかった。
小学校の校庭の桜は沈んで2度目の春になる。水面は静かだった。近くにいろいろな観光施設ができて、車の通りはやや多くなったようだが、橋から見下ろす水面は静かだった。
移設された杉は、枯れ枝を落とされていたほかは元気なようだった。休憩らしく、大きな車がふもとにずっと停まっていた。
杉の横の崖では山桜が散り始めていた。崖沿いの道に上がり、桜の木の近くに来ると、香りがただよった。この山里は古い時代の書物にも記された山桜の里だった。里は無くなった。山桜はこれから何を伝えていくだろう。
(4月13日)
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