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2018年9月13日

道の記


新聞記事で読んだ、街路樹ケヤキの伐採工事が始まったという場所を訪ねた。すでにいくつかの木が伐り株になっていて、残る木々には赤い紐が巻いてあった。伐り株の年輪は20数本のように見えた。切り口は少し前までの雨のためもあってか、濡れていた。セイヨウジュウニヒトエのように見える草の葉が伐り株をかくまうように囲んでいた。

街路花壇も撤去されるらしい。花壇には種類がわからないいろいろな花がまばらな感じで植えてあった。リコリスがそろそろ咲き始めそうだった。

残るケヤキを見ながら歩いていくと、1本のケヤキから強く呼び止められたような気がした。ことばではない。見上げると、そう大きな木ではないけれど、箒よりはもっと枝を広げた感じの枝振りで、何か私を抱きとめようとするような、ずしんとした力を感じた。少しのあいだ立ち止まってその力といっしょにいた。ケヤキはそれ以上何も付け加えなかった。

道行く人が誰か何か言うわけでもなく、木々も草花もそこにじっとしていた。思えばいつでも、彼ら道の草たち木たちにはただ待つことだけが待っていた。

また来るよ、と、来るつもりをまだ決めていなかったのに口に出た。