五ヶ山、東小河内の神社の木々はダム湖の水に浸かり始めていた。双眼鏡で見ると、桜やモッコクのいちばん下の枝の少し下まで水が来ていた。地面が水没したため、小さな動物が木に登っていないかと思って枝を細かく見てみたが、わからなかった。
そのすぐ近くの水面間際で、つつじが咲いていた。民家の跡なのだろう。その少し上に、なにか薄紅の花が咲いていた。
東小河内の側から東小河内の木々を見ていると、湖面を風が渡るときにさざ波が立って、日光を反射した白い細かな光がまるで吹雪のように木々に押し寄せてくるのが見えた。悲しいほどに明るかった。