東小河内の木々の丘には水が迫っていた。柿の木は樹冠の頂だけをダム湖の水面上に残して水没していた。枝に実が残る木のほうの梢に、1羽、大きな鳥がとまっていた。目は見開いていた。
桜は咲いていなかった。少しだけ残った葉が、色づいていた。となりのもみじは赤く染まっていた。丘の下のほうにひときわ赤い葉の木が見えた。その下が水だった。しゅろの木のそばにやや大きな木があり、枝にわずかに緑味を残した葉が見えた。その下の水面から、赤い葉の枝が伸び出ていた。
小川内の旧山祇神社境内上に位置する高い杉の木が、赤く染まっていた。
私が去るまで、鳥はずっととまっていた。