道ゆく先々での、木々草々花々などさまざまの出会いとその後を、一筆箋に綴るつもりで。
From the Wayside: about my acquaintances of trees, flowers, weeds and others (written in Japanese)
※ ページの下のほうにこのブログの説明・過去記事カレンダー・タグクラウドなどがあります
※ 現在、機器の問題でブログの更新がやや難しくなっています。最新の記事はツイッターのほうに投稿し、このブログには可能なときに後追いで掲載するようにします。1日の記事が多いときにはブログに一気に投稿する場合があります。2020年9月18日(2021年6月1日修正)
2017年5月1日
道の記
砂利敷きの小さな広場に保存樹の標識だけが立っていた。近くに寄ると、すっかり朽ちた切り株の一部が地表に残っていた。人がつまづかないように標識を残してあるのか、木がたしかにあったことを残してあるのか。標識が木そのものに変わって生き続けているようにも思えた。
坂を上ると小さなひっそりとした公園に出た。木の切られた香りにすぐ気がついた。見ると、園地の端に大きな切り株があった。地表に出ている根のあちこちで皮が剥けていた。ところどころにひこばえが生え、細かな鋸歯のある葉を広げていた。公園にいるあいだ、誰もやってこなかった。
染井吉野の切り株は切られて4度めの春。かなり腐朽が進んだが、今年も、ひこばえからたくさんの葉を出している。昨年は草刈りの際にひこばえが切られたが、今年はいまのところそのままにされているようだ。どんな姿になってもいまのいのちを謳歌している。
そして道端のいちょうの切り株の周りは小さな緑のいちょうの森になっていた。