交差点のホリホックが新しい葉を用意していた。たんぽぽが先に花を咲かせていた。
この道はしばらく通らないだろうと思いながら歩いているといろいろなものがいとおしく思えた。
もう長く開かないお店の前。以前はオニタビラコがいたのだが、プランターごといなくなってしまった。わずかな隙間からノゲシが咲いていた。
畑は一面、キツネノボタンの仲間だと思う黄色の花がぴかぴかしていた。自転車に乗った若い人が、狭い歩道をゆっくりと、ふらつきながら通って行った。
山際のバス停はポケットパークになっていて、通るといつも何かの花が咲いている。きょうはどなたかが枯れた草を抜いておられた。目が合うと、にこっとなさった。こんにちは、と挨拶を交わした。桜の次に木蓮が咲き始めていた。
春の小径は深まる夜に眠っているようだった。寒かったあいだ、春をくれてありがとう。
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