タンポポが雨に濡れて花を閉じてそれでも上を向いていた。
右の小さな道に入ってもよさそうだったが、信号がついたのでこのまま正面方向へ行くことにした。右の道から出てきた方はつっかけだった。そのつっかけが、何に引っ掛かったのか路面に取り残されて、その方があわてて立ち戻った。
令和になった日に富士山の初日を黒板に描いていたお店。黒板はお店の新型コロナ対策が描いてあった。
大雨の中をほうほうのていで歩く。だいぶ前に通った商店街の道。花屋さんの花が目に入るが、名前があたまに入ってこない。さいごに目に入ったサルビアだけ覚えられた気がする。
誰もいない公園。無人のベンチ。ベニバナトチノキが咲いていた。
いつかの夏に、葉を枯れ色にして立っていた公園の大きないちょう。雨の中であおあおと葉を茂らせていた。
(1話削除しました 2020年5月21日)
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