丘の上の小さな雑木林だった場所はどうも一軒家になるような様子だった。建物はすでに建ち、まわりの工事が進められていた。何かのセンダングサが1本、様子を見つめるように立って咲いていた。
この道を行くのもひさしぶりだったし、この方向から行くのはほんとうにひさしぶりだ。向こうの山が夕日にあざやかに照っていた。緑だけでなく冬の紫も見えていた。
クリスマスの小さな飾り付けがされていたお家の納屋が無くなっていた。こどもさんの家を新築するようだ。お家をのぞきこんではいけないので足早に去ったが、敷地の端に古い小さなこいのぼり飾りを巻き付けた、たしかそこにクリスマス飾りも付けていたと思う木組みの枠が立てかけてあった。
蝋梅がきれいに咲く幹線道路沿いのお家が無くなっていた。更地だった。木のちぎれ根が地面のところどころから出ていた。しゃがんで、その1つに触った。何の木かはわからなかった。しなやかだった。
以前大きな木が立っていた駐車場は、大きなマンションに変わっていた。エントランスには数本の木が植栽されていた。あの木のように大きくなれるかどうか考えかけて、やめた。彼らにはきっと彼らの未来があるだろう。
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