2019年8月15日

道の記


クサギのトンネルだった場所でもクサギの花が咲き始めた。しかし香りはわからなかった。通る人の香水のにおいのほうが強かった。

その先のクサギの花がたくさん咲いている場所では香りが立っていた。クサギとは言うが臭いというよりは香ばしい。でもそれは私がここを通り過ぎる人間だからだろう。近くに住む人や働く人はつらいかもしれない。そう思ってあたりを見回したが、クサギよりはるかに高い所にそびえ立つマンション群へは、香りはいつもいつも届かないだろうと思い直した。


空き地はヒロハホウキギクが高くなり始めた。アキノエノコログサも多い。このごろは草を見ると反射的に手を小さく振っている。その振っているところを向こうから歩いてきた人に見られた。見られたと言ってもすぐに視線を外されたようだった。すれちがうまでは私も手を振らないでいたが、すれちがった後には気がついたらもう手を振っていた。


イヌビワのいたお店の跡地は整地が始まっていた。重機がすみずみまで手を入れていた。


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