2019年4月30日

道の記


以前ここで音楽祭が開かれたのがこの時期だった。そのときに会場そばでヒトツバタゴの花が咲いていた。思い出して、道を外れて立ち寄った。ヒトツバタゴはまっしろに咲いていた。寄贈なさった方のお名前が札にあった。その札に平成4年とあった。ヒトツバタゴの幹には忍草が着生していた。植えられたそのときからここまで過ごしてきた証しのようだった。札とヒトツバタゴに頭を下げて立ち去った。


春の小径はシロツメクサが咲いていた。ところどころ、ムラサキカタバミのように見える花が、雨に濡れて花を閉じていた。道の向かい側は麦畑で、穂があおく実りつつあった。ノビルがかたまって白い頭を高く伸ばしていた。浅い春はすでに眠りについたようだった。


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