遠くに山が見えるほうの大くすのきの林だった場所では、ボタンクサギの花が少しだけ残っていた。香りを嗅いだ。切り開かれた丘はビニルシートで覆われていた。くすのきの香りはしなかった。
交差点のケイトウのそばに白い彼岸花が咲いていた。モデルルームの看板を掲げた人が手元のスマートフォンか何かを操作していた。
ときどき通る道沿いのお家の前のカンナが、咲いているのに草刈りに遭ったようで倒れ気味になっていた。花はだいじょうぶそうに見えたが、もうしばらく咲いていてくれるとうれしい。
クサギのトンネルは花が少なくなってきた。落ちている花を拾って香りを嗅ごうかと思ったが、大くすのきの林のボタンクサギを思い出して、ここの香りを嗅ぐのは今日はやめた。