2018年9月13日

道の記


もうこのベンチに掛けることもないのかな、と思いながらコンクリートのベンチに腰掛けた。最初に腰掛けたのは数十年前になる。目の前の池の景色も変わらない。ふと、ベンチの下にキツネノマゴがいるのに気が付いた。花を咲かせている。

そのベンチがテレビニュースの画面に映っていた。奥の燃える建物をめがけて消防車が放水していた。その横で、立ち枯れたカイノキが静かにその光景を見つめていた。