2017年10月13日

道の記



自動車ばかりが走る夜道を疲れて歩いていて、廃止された施設の敷地に咲くユッカの花に慰められた。1年か2年か前だったと思う。その敷地が更地になっていた。明るい空の下で、白くなった地面から草の芽がいくらか伸び始めていた。ユッカは見えなかった。



歩く人も自転車の人も見かけない長い歩道の街路樹の根元に、ツルボが1本ぽつんと咲いていた。穂の先だけ花が残っていて、今年の花はこれで終わりそうだった。その咲き終えようとしている花の穂のかたちが、しあわせのかたちのように見えた。横をいろんな車が次々と走って行った。