道ゆく先々での、木々草々花々などさまざまの出会いとその後を、一筆箋に綴るつもりで。
From the Wayside: about my acquaintances of trees, flowers, weeds and others (written in Japanese)
2020年9月30日
道の記
クサギのトンネルだった場所の少し先の斜面のクサギに実らしきものが見えた。
ツルボはさらに咲き進んだ。花の穂の見た目の重心がだいぶ上になった。
とても大きく幹回りも太かった、公園のイヌマキが伐られていた。切り株にビニルシートがかぶせられていた。ビニルシートがかぶっていないところの幹に手を触れた。少し温かく感じた。
むかしからの公営アパートが解体撤去されて更地になった。砂利敷にアキノエノコログサなどの草が生えている。がらんと白い土地にぽつぽつと生きている草たちの景色が、この街の中にあたらしい場所を作っているように見えた。
2020 9/30 スーパーマーケット跡地 ヒロハホウキギク オオアレチノギク ヒメムカシヨモギ クサギのトンネル クサギ ツルボ イヌマキ アキノエノコログサ 公営アパート跡地
2020年9月27日
道の記
美術館の帰りにその絵のところへ戻った。他にもいろんな絵が描いてあったのだった。ケーキ、たくさんの果物、そしてこどもさんらしき笑顔。こどもさんはもういなかった。
公園の林のところどころに人が座っていた。この場所のこういう景色をあまり見たことがない。明るい休日の午後。
近寄らないでと札が掛けられていた桜は伐られていた。切り株は乾いていて、伐られてから少し時間が経ったようだった。ひこばえが出ていないか見てみたが、切り株も根も茂る草たちに囲まれていて、ひこばえはわからなかった。
丘の陰の斜面でアキノノゲシが咲いていた。
ツルボはさらに少し咲き進んでいた。日がちらちら当たっていた。
大きな公園は人がたくさん。自分の居所がなかった。大きなケヤキの下のベンチが空いたので掛けた。カリンバをぽつぽつ鳴らした。日が傾いていた。
十月桜がちらほらと咲いていた。そのとなりでオカリナを吹いた。日が暮れた広場では、向こうのほうから、遊び続けている人たちの声がしていた。こどもたちが歌っている声がかすかに聞こえた。
2020 9/27 地面に描いた絵 サクラ アキノノゲシ ツルボ ケヤキ 十月桜
2020年9月26日
2020年9月22日
道の記
中洲は大きなくすのきの林。砂が積もっていた。以前来たときもその前の水害で中洲が水に浸ったが、それ以降、たぶん今年も、水をかぶったのだろう。
砂が積もった道を、傾いた日に照らされながら、蝉の幼虫が歩いていた。小さい。たぶんつくつくぼうしだろう。見ていて同じところを回っているようだったので、考えた末、葉っぱに載せてくすのきの根元に渡した。
ひかげちょうの仲間の蝶が、砂が少し水を吸った様子の地面に降りていた。
中洲の突端まで歩いた。砂が厚く積もっている。セイバンモロコシやオオブタクサが立ち並ぶその向こうに、川の土手と夕日。左手には川の対岸の土手。後ろを向くと、なにか南国の木のように大きな枝をたくさんくねらせて立ち上げている、くすのきがそびえていた。足跡もあり、人が来ないではなさそうだったが、誰か居る様子ではなかった。
夕日と空を眺めているうち、あちこちで夕方の音楽が流れ始めた。曲はばらばらだった。その最後のひとつに押されるように、突端を立ち去った。
ひかげちょうはそのまま同じ場所に居た。つくつくぼうしの幼虫はいなくなっていた。
公園で日暮れを待って星空を見た。夏の星々。少し満ちてきた上弦前の月が、アンタレスと斜めに並んでいる。いるか座の星々がかろうじて見える。天の川は見えるようで見えないようで、うっすら見えているのも気のせいかもしれなかった。それでも大きな星空だった。持って来たカリンバを星を写し取るようにして鳴らした。これでいよいよ夏が終わりそうだ。
2020 9/22 クスノキ 蝉の幼虫 ツクツクボウシ ヒカゲチョウ セイバンモロコシ オオブタクサ 夕日 月 アンタレス さそり座 いるか座
2020年9月21日
道の記
山へ上がっていく道。5年ぶりに歩く。家が高いところにかけて増えたような気がするが、道沿いのくすのきはあまり変わりなさそうに見えた。
中腹の小山に立ち寄った。桜がすでに葉を落としていた。わずかにだけ咲いているアキノノゲシの花に、キアゲハがとまっていた。
明るい林の中の道を行く。途中、道を間違えて降りてきた様子のおばあさんとお孫さんらしき方々が、詳しそうな方に案内されて道を戻り始めた。その方々の後を私は登っていった。お孫さんたちがいっぱいおしゃべりしながらおばあさんの後を追っていた。
お孫さんたちが休みたいということで皆さん休憩を取られた。先へ行かせてもらった。しばらく行った先で私も休んだが、ご一行は分岐で別の道へ向かわれたようで、現れなかった。
山からの眺めは懐かしかった。青かった。もうひとまわり高い向こうの山は、ここよりももっと何年も登っていない。眺めていると、遠くにも近くにも感じられた。
坂道の途中の、登るときには気づかなかったところに白彼岸花が一輪、咲いていた。
2020 9/21 クスノキ アキノノゲシ キアゲハ 白彼岸花
2020年9月20日
道の記
ビルの谷間のヨウシュヤマゴボウは元気そうに見えた。タピオカらしきものを飲んでいる方が手前におられて近づくのは遠慮した。
お屋敷跡のいちょうも元気そう。
公園はにぎわっていた。水路でヨシノボリを見つけた。
カゼクサが生えている場所を通り過ぎて引き返した。カゼクサは今年もぱらぱらと穂を付けていた。こどもたちが小さな自転車で行ったり来たりしていた。
この前も通った道だが、きょうは白い彼岸花が咲いていた。
この前この道を歩いたときより少し遅い時間になった。この前もすれちがったお歳の御夫婦がきょうは少し手前ですれちがった。道を向こう側へお渡りになろうとしている様子だった。車が来るのが続いていた。
暮れていく見晴らしの丘は虫の声がいっぱい。水平線の上が夕焼け色。空の下に広がる草原。この景色が大好きだと思った。草も木もほのかに夕焼け色をしていた。
公園の高台。さそり座が大きく横倒しになっていた。
2020 9/20 聖夜の木 コブシ オヒシバ コメヒシバ ビルの谷間のヨウシュヤマゴボウ ヨウシュヤマゴボウ 飯田屋敷跡のイチョウ ヨシノボリ カゼクサ 白彼岸花 さそり座
2020年9月17日
2020年9月16日
2020年9月14日
道の記
地図で見ると左の新しく整備された道のほうが早く着けそうだったが、これまでよく通ってきた右の道を行くことにした。歩道脇からタチスズメノヒエが伸び出していて、穂に当たりながら歩いた。こちらの道でよかったと思った。
前を行く人が神社の鳥居の前で一礼して歩いて行った。
新しい道ができつつあった。そこは通れないので以前の道へ入ったら、その新しい道に出た。このあたりのお家が立ち退いたということだろう。以前はここは小さな路地だった。新しい道の未開通部分で地元のこどもさんたちが遊んでいた。
ひさしぶりに親水公園に入る。もう暗いので歩くだけ。道の片側はマンションだが、もう片側に小川が流れる。木々が深くてそちらだけ見ると渓谷のようだった。
大くすのきの林だった場所のマンションの前にさしかかる。もうその敷地のほうを見ることはないだろうと思いながらそちらの方向を眺めた。暗い空にまだ入居が始まっていないマンションがそびえる。その向こうでアークトゥルスが低く輝いていた。
振り返ると木星と土星。アンタレスが見えるはずと思って探すが、雲が多くてわからない。もう見られないかと思って歩き出そうとしたときに、そのあたりに星明かりが見えた。赤い星。来年また見られることを願った。